日本の国立大学で偏差値もトップレベルの名門、東京外国語大学が定期的に開催している「オープンアカデミー」。気になっているけれど、お金を払ってまで受ける価値があるのか?また、どんな内容なのかも知りたい!と思っている方はたくさんいらっしゃると思います。
この記事では、オープンアカデミーについての詳しい説明、そして筆者が実際に受講したオランダ語の授業の内容や感想もご紹介していきます。
東京外国語大学のオープンアカデミーとは?
オープンアカデミーとは、東京外国語大学が人々の生涯学習をサポートすることを目的に一般人向けに開催している有料の講座です。(東京外国語大学「オープンアカデミー」のリンクはこちら)
オープンアカデミーでは、東京外国語大学の専門分野である言語と地域文化に関する講座を、年間で200クラスほど提供しています。講座は大きく3つのジャンル、「教養講座」「語学講座」「特別講座(日本語教育など)」に分かれており、興味のあるジャンルから選んで受講することができます。
中でも「語学講座」では、英語や中国語などのメジャーな言語から、バスク語やビルマ語といったかなりマイナーな言語まで幅広く扱われています。(時期によって開講される言語は異なります)
2020年度以降はコロナウイルスの影響ですべての講座がオンラインに切り替わっています。2021年度もオンラインで開催され、今後も継続予定とのことです。社会人の参加者も多くいることや全国から参加できることを考えると、オンライン講座への変更は非常にありがたいと感じます。
オープンアカデミーの開催時期は?
講座によって開催時期は異なりますが、
- 春期間(4月上旬~7月上旬ごろ)
- 夏期間(8月上旬~11月中旬ごろ)
- 秋期間(12月上旬~3月中旬ごろ)
という区分で開講されています。
語学講座は前期(Ⅰ)と後期(Ⅱ)の通年で開講され、2021年度から初学者向けの講座も両期間とも用意されているようです。
だいたい講座開始の2か月ほど前から申し込みが開始されます。人気の講座は受付開始後、すぐに満席になってしまうこともあるので、ウェブサイトを早めにチェックするようにしましょう。
申し込みには受講生登録が必要ですが、登録料や入会金は無料です。
「優先受付対象講座」と記載されている講座を前期に受講していた場合、後期の申し込みを優先受付期間に行うことができます。(すべての講座が対象なわけではないので、注意してください)
オープンアカデミーの受講料は?
受講料は講座や授業の回数によって異なります。(詳しくはウェブサイトの講座一覧へ)
目安としてまとめると、
- 「教養講座(全5回)」で 5,500円
- 「語学講座(全12回)」で 20,200円
- 「特別講座・日本語指導者養成(全15回)」で 34,000円
以上から、だいたい授業1回分が1,100円~2,270円ほどだということがわかります。
受講料の支払いはクレジットカード払い(一括)のみで申し込み時に支払い手続きをします。開講中止の場合は全額返金されますが、それ以外の場合は受講料の返金はできません。
オープンアカデミーの講座内容は?
講座内容は講座によって異なります。申し込みの前から、講座一覧で確認することができます。
筆者が受講したオランダ語初中級の講座(Ⅱ)では、指定されたテキスト(『中級オランダ語 表現と練習』白水社)を使って、
本文の音読⇒本文の訳確認⇒新出語彙の確認⇒文法確認⇒文法問題
の流れで授業が行われました。筆者が参加した講座では受講者数が10人ほどでしたので、生徒が順番に先生に指名されて、音読や訳、問題の回答を行いました。
筆者が受講したオランダ語の授業では特に宿題はなく、文法問題の残りを各自で行うようにという指示のみありました。
詳しいオランダ語の講座内容や感想については後述するので、そちらをご覧ください。
オープンアカデミーの評判は悪い?
オープンアカデミーは有料の講座ということもあり、評判や感想を紹介しているブログはかなり少ないです。加えて2020年から新しくオンライン体制に切り替わったばかりなので、オンライン講座に関する評判や感想はほとんど見当たらないと思います。
対面講座だったころの評判や感想を探すと、
- 外国語の習得に適した期間ではない
- 担当講師によって当たりはずれの授業がある
- 講座のための事前準備が行われていない・教案が定まっていない
といったような、マイナスな感想が目立った印象です。
実際にオープンアカデミーを受講してみた感想
実際に受講したことでわかった良い点や気になった点をそれぞれ分けて紹介したいと思います。あくまで個人的な感想ですので、参考までに読んでいただければと思います。
良い点
まず、受講料の設定が安いということです。筆者が受講したオランダ語講座は、1回2時間半の授業が全15回で20,200円でした。一般的なオランダ語教室や講座と比べても破格の値段です。また、オンライン授業ということもあり、学校までの交通費もかからないので非常に安く受講することができたと思います。
次に、言語の仲間とともに勉強ができることでモチベーションに繋がることです。オランダ語はマイナーな言語なので、なかなか勉強している人に会うことがありません。しかし、オランダ語を勉強する目的は違えど、オランダ語に興味をもって真剣に学んでいる他の受講者をみると、とても刺激になります。講座開始日の授業冒頭で簡単な自己紹介をしましたが、他の受講者の参加理由を聞いて、オランダ語を学ぶことで広がる可能性を知ることができたのはとても良かったと感じています。
気になった点
まず、公開されていた授業スケジュールと授業内容が少し異なっていたことです。先述したように、語学講座は前期と後期に分かれて通年開講されています。そのため、後期のオランダ語初中級の講座(Ⅱ)は前期の授業の途中からのスタートとなり、シラバスとは異なっていました。授業冒頭に先生からの説明もあったので、後期からの参加でも問題はありませんでしたが、授業スケジュールがしっかりと組まれていない印象は受けました。
次に、授業がテキスト以上の内容ではないことです。講座によるとは思いますが、筆者が受講したオランダ語の講座では、担当の先生が語学講師を専門としていた方ではありませんでした。オランダに長く住まれていたようで、オランダ語を感覚で理解していることは重々承知しています。しかし、文法の解説は基本的にテキストを読んでいるだけで、テキスト以上の詳しい文法の説明はありませんでした。
筆者は、テキストを使うだけの独学では解決しない文法事項の説明や、特殊な構造の解説等をオープンアカデミーの講座に期待していたため、授業内容には少し物足りなさを感じました。
オープンアカデミーを受講する価値はある?
繰り返しにはなりますが、個人的な感想であり、講座によって内容や満足度は大きく異なると思います。そのため、一概にオープンアカデミーの価値を決めることはもちろんできないということは、筆者も十分承知しており、読者の皆様にもご理解いただければと思います。
以上を踏まえた上で、実際にオープンアカデミーのオランダ語講座を受講した体験から、
- 自学自習がしっかりとできる人は、わざわざ受ける必要はない
- テキストを先生と読み合わせながら、ゆっくりと進めていきたいひとにはおすすめ
と言えると思います。
1.については、テキストを使いながら、語彙の詳しい成り立ち(分離動詞など)を調べることや本文の精読なども自分でできる学習者のことを指しています。一週間に一度の授業日を設けなくても、黙々と学習を進めることができれば、お金を払ってまでオランダ語の講座をオープンアカデミーで受講する必要はないと思います。
2.については、独学は少し苦手で、先生のアドバイスを受けながら丁寧に進めたい学習者のことを指しています。週に一度授業があることで、予習や復習をするためのペースメーカーになりますし、先生の解説の着眼点を参考にして、今後の学習にも生かすこともできると思います。
まとめ
東京外国語大学が開催している「オープンアカデミー」は、学習意欲のある方はだれでも申し込むことができます。もちろん受講するメリットやデメリットはありますが、自分と同じように語学を志す仲間や、より高いレベルを目指しで学習を続けている人々に出会うことができる機会を確実に提供してくれています。オンラインで自宅から受講することができる今、気になった方は試してみてはいかがでしょうか。
筆者は、マイナー言語であるオランダ語を勉強する上で貴重な講座であると感じたことや、東京外国語大学が開催している語学の授業に興味があったことから、そういったマイナスな感想に不安を感じつつも受講することに決めました。